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ザ・ブルー
クジラが飛び立つ
青空に向かって
大きな水飛沫が虹を架けて
空へと消えていく
雨のように降り注ぐ
全身濡れるように染まる
水平線の光さえ溶け込みそう
青が視界を埋め尽くす
クジラよクジラ
青空を泳いでどこに行くのか
遠くなる影を指で追って
それは飛行機雲のように跡を残して
鳴き声を聞く
深い青の空から
影から
仲間を呼ぶような声を
鳴き声を聞く
深い青い底か
影から飛び出る
仲間の声を辿って
飛び跳ねる水飛沫
また雨のように降り注ぐ
乾くことなく濡れていく
青く青く景色を塗りつぶすように
クジラたちが泳いでいく
水平線の向こうを目指して
残された世界の跡
その上に私が立っていた