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アラームの前/後
今日
明日とまた
同じ時間に起きるんだ
アラームが鳴るより前に
目を覚ました夢を見て
遠くに去っていく車の音
かすかに消える人の声
世界は起き始めているのに
僕はまだ
この布団から出たくないんだ
明晰夢のように楽に生きれたらいいな
まどろみの中で起き上がる
朝日が差すよりも前に開けたカーテン
朝焼けが顔を照らす
昨日
一昨日も
同じ夢を見たんだ
アラームが鳴った後に起きる
現実より怖い夢
静かな部屋の中で時計の針が
妙に重たく聞こえる
世界はまだ目覚めていないのに
僕だけが
起きれていないように感じるんだ
白昼夢のようにぼやけていたらいいのに
冴えた目が暗がりを見つめて
閉め切ったカーテンの隙間から
朝焼けが差し込んでいる
同じようなのに
正反対のように
今日と明日が入り交じる
現実も夢も一緒になってしまえば
憂鬱な気分にはならないのかな
鳴り始めたアラーム
その一秒前
目覚めた手が探した暗闇の中
まどろみが冷めていく
かすかに聞こえる車の音が
今日の訪れを告げて