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夜色がひらりひらり
夜色がひらりひらり
目の前に舞い落ちる
背中越しの風に乗せられて
暗闇の中へ旅立った
電灯に照らされて
白く濁る桜色
木下騒ぐ声さえも
振り向けば音もせず
ぼんやりと霞んでいく
消えていくのは昨日の灯りか
背中合わせの闇が告げる
お酒で一杯 口を濁す
いずれはなくなるものだと
目先の人は今を楽しむ
広がっていく言葉の風は
他愛もない時を色濃く写した
積もる色も一息吹けば飛んでいく
終わりよければ全てよき
土に還っていく音たちよ
次はいつ会えるだろうか
電灯を見上げて影送り
白く濁った桜色はひらりひらり
黒く色付いて消えていく
また夜を迎えよう