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もう一度、青い空。

 

気付くのに遅すぎた

そんなことはなく

知っていてそのままにしていた

あの雲のように

それが流れてくれれば

それだけでよかったのに

思わずこぼした言葉が

僕の心を突き刺した


若き日はもう暮れて

老いる朝が訪れる

残ったものを溢さぬように

強く握りしめて出来た痕は

もう治りかけ


夢は見れても

夢を描くことはもうなく

誰かの希望の押し売りもいらないと

ため息を吐くのが日課になっていた

それはきっと羨ましさの裏返し


何もしてこなかった生き方を

悔いることもなく

いつもが続いていくだけで

見上げた青い空は広く

変わることなく在り続ける

その青さに視界は塗り潰されて


ささやかな風が虚ろを剥がして

今日の光を身に受けて

ありきたりな言葉をふと呟く

過去には戻れないけれど


歩くだけの人生を

少しは走ってみようか

何も変わらない結末があるとして

それが答えなら

合わせた歩幅をもう一度


流れていく雲の下

青く吹き抜ける風に手を引かれ

まだゆっくりと歩いている

老いるための夢を見る

そのままだった景色が少し

青く見えていた

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