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自暴自鬼
どれだけの言葉を貪っても
どのくらいの時間を呑んでも
何も変わらない
叫びはいずれ嗄れて
手足は枯れ果てて
残るものはきっと後悔と妄執だろう
足掻けば足掻くほど世界は大きく
青い空さえも酷く淀み
自分の居場所などないと思い知らされる
狂おうにも狂える程のものもなく
ただ無能にうちしがれる
世界は残酷だ
その言葉を吐いたとき
背中を刺すのはきっと
明日の自分だろう
醜く歪み笑う君が言った
「選択を間違えたのは自分だろう?」
何も止まってはくれない
吐き出した悪意と
流れていく時間
赤い血など最早ない
そこにあるのは答えだ
人間にも成れなかった
残骸の成れの果て
沈むほど心が軽く
世界は明るく見える
全て投げ捨てられるほど
食べることもやめられる
呑むことも
聴くことも
それを許さないのは
あまりにも酷だろう
しかし目を覚ませば
また言葉を貪り
時間を呑み込む哀れな何か
そしてまた後ろに立つ
自分が見下ろしている
この素晴らしき景色を悪夢と言うなら
それはきっとお前の傲りだと
誰かが吐き捨てた




