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青き枷

 

空の青さが僕を塗り潰す

遠い景色の中に呑まれていき

いつかその果てを目指そうと

知らぬ道を歩き出していた


学んだこともないことが

目の前で起こり続けて

知りもしないことが次々と

記憶を押し込んでいく


怖い

そう思ったことは何度あったろう


嫌だ

逃げ出そうとしたことは何回あったろう


その度に見上げた青さが僕を覗き込む

何も出来ないことの証

ただの思い付きはいつしか

足枷となって重くなっていた


歩くことは出来ても走れず

ただ青い景色の中で晒されて

雲一つもないから泣けもしない

僕は歩き続ける亡霊になっていた


年を重ねて

月を過ごして

辿り着くその途中

いつまでもあの日の道の上


誰かこの足枷を外してくれよと

自分の結末を誰かに委ねた

けれども声を聞く人はいない

ここは独りだけの青い空


手を伸ばして掴めば空ろを

喉が渇くくらい叫んでも

青さが全てを綺麗にしてしまう

汚れることも出来ない空の下


でも本当は気付いているよ

その足枷は重くないと

重たくて走れないと僕が

勝手に思い込みたいと願っている


あの日が離れる度に僕は忘れる

この道を歩き出した意味を

些細な理由さえも後付けになって

足枷をはめたのは僕自身


空の青さがまだ僕を塗り潰してくれるなら

またここから始められるからな

亡霊ではなく旅人して

いつか見た果てを目指すため


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