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カイコード

 

涙の数だけ強くなれた

そんな訳もないのに

握った拳から血が滲んだ

どうしようもない現実に

挑めたらどれだけ格好いいか

落書き台詞を読み上げた


理想の自分が鏡を叩き壊して

散らばった欠片が現実(ぼく)に刺さって

世界は何も見てくれないと

塗れた髪を掻き上げた


失ってしまうもの

なくしていくもの

何も取り戻せずに

ノートの端に描かれた

落書きだけが残る


足掻いているよと

蹴り飛ばした言い訳が風船のように

翔んでいってくれたなら

きっと前に進んでいた

ノートの切れ端をちぎった


失敗した数だけ成長すると

そんなことはないのに

噛み締めた唇から嫉妬が漏れた

取り残されている現実に

クソ食らえと言えたなら

ノートの落書きはないはずだった


空想の自分が手を引っ張った

けれどその先に行くのが怖いと

振り払って手 仰け反った視界

結局は現実(ぼく)が決めている


消えてしまったもの

始めからないもの

元より頭の中にもなくて

落書きも誰かの言い回し

惨めな笑みが残る


失ってしまうから

なくしてしまうから

夢はノートの端に描いて

落書きにしてしまえばいい

理想が僕を殺してしまうから


気が付いても分かっていても

もう取り戻せないごみ箱の中

今さら探し始めたって遅いと

目を閉じた現実(きみ)が泣く


あったはずの景色もなくて

年を重ねてもまだ持っている

その手に掴まれた色褪せた落書き

ノートの切れ端と共に千切って


言い訳をした後悔にいつまでも

壁を叩く現実(ぼく)がいた

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