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行末
赤い光はいまだ遠く
彼方の世界で輝いている
空から見えた果て
海から見えた果て
そこに世界の終わりはあった
悲鳴は今なお響き続ける
そのことに耳を覆う私たち
認めたくないのではない
認めたくてもできない
涙に埋もれたこの記憶
永遠に分かち合えないと決めつけて
恐らくは敵として見なす
ひとりの
ふたりの
数人のエゴイズムが
全てを狂わせる
続く記憶
終わらない記録
その輪廻は尽きることなく続く
瞳に写るあの風景
パノラマから見えた世界の姿
こんなにも世界は血に埋もれていたのか
紡がれることのない物語
語り部はひとりまたひとり
その口を閉ざしていく
いずれかは忘れ去られるこのエピソードを
どうやって明日へ紡ごうか
出来ることなら未来永劫に
伝わることを祈る