ドーンフィア
眠るのが怖くて
部屋の明かりを付けた
開きかけたドアの隙間
暗闇が覗いている
明日が怖くて
夜が明けるのが寂しくて
何となく付けたテレビ
砂嵐が静寂を拐っていく
逃げたい未来があって
避けられない明日があって
泣きそうになる心
声にも出せずに無表情
「逃げたいなら逃げればいい」
そんなことも出来ないから
どうすればいいんだと
足元に伸びた影が叫んでいる
教えてくれよ
夢から覚める方法を
誰か背中を押してくれよと
窓際に腰をかける
逃がしてくれよ
震える手を押さえた
誰もいない部屋で一人
窓から夜を見上げる
思い出に浸り
部屋の明かりを見つめる
開かれたドアの向こう側
暗闇が手を振っている
零時が過ぎて 目を背けて
真夜中に恐れを抱いて
何も写らなくなったテレビ
静寂が現実を置いていく
逃げたい言葉ばかり
足は動きもしないのに
やがて窓の外から
月が落ちていく
分かっているさ
どうにもならないことは
時計の針が回って
また零に戻って
それでもいいだろう
諦められない現実逃避
無駄に抗う理由を探して
ぐちゃぐちゃになっていく
教えてくれよ
夢から覚める方法を
誰か背中を押してくれよと
窓際に腰をかける
逃がしてくれよ
震える手を押さえた
誰もいない部屋で一人
窓から夜を見上げる
変わってくれよ
やがて夜が明けるとき
また昨日が始まっていること
未来はもう去っている




