562/660
クラヤミプラネタリウム
見上げて幾万幾億もの
星の明かりを指差す
線を繋げて図形を作る
君に最初教えた星座は
なんだったっけな
移ろう夜空を共に
首を回しながら眺めた
流星は地平線に消えていく
願いの一つも願わないのは
きっとあれが偽物だから
アルゴーの船に乗れたら
星海を探検出来るかもね
冗談交じりで言った言葉に
きっと出来るよ
君は笑ってみせた
昔から人々が見上げた世界
誰も知らない夜の物語
知識の積み重ねと
ロマンを追い求めた旅人の
歴史を辿った物語
今もなお色褪せることなく
凍てつくような風が吹く
寒さに身を震わせようとも
心に宿る熱は冷めず
ただ星の明かりを目で追う
君の影法師を追って
やがて夜が明ける
開けた天井から暗闇が覗き込む
隣に座る写真を伏せた
いつも旅人の始まりは
闇の中から明日へ
扉を開く
壊れた世界から
何もない世界へ
プラネタリウムに移る海を
暗闇の中に求めた




