560/661
今日の水平線
走る
走る
白線を越えて
眩しいほどの
暗闇が迸る
目に見えるもの
耳に聞こえるものだけが
正しいとは限らないと
烏は口を開けて笑う
夜の帳をおろした
星の明かりもいらないから
月影さえも手で覆い隠す
暗い
黒い
見えない
優しさ
昨日の成功も
明日の失敗も
きっといつか
笑い会える時が来るでしょう
目をつむる
耳を覆う
内なる鼓動が
うるさく
激しく
静かに針を動かす
白い吐息も
灰色の煙も
白昼夢に溶けていけば
このまま
続く
今日の水平線
駆ける
翔る
暗闇が抱く
優しさに溶けていく
微睡みに
沈み
堕ちて
あの日へ
夜が開ける
 




