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ヨフカシンメトリー
子どものころ
憧れていたこと
夜更かしだったなんて
口にしたら笑われるかな
暗い部屋の中で見ていた
鮮やかな夢は現実に変わり
ただ画面越しに僕の顔を写し出す
憧れていたこと
気が付けばあり前になって
怖い話も
好きだったヒーローも
等しく夜の時間を楽しませてくれた
目を瞑れば明日になった
夢の目覚めは早く
けれど夢の続きを見たくて
目を瞑れば暗闇が視界を飲み込む
光をたどれば朝焼けの中
夢を見ることも少なくなった
スマートフォンのアラームが
一日の始まりを告げる
幼き頃の憧れは
いつしか当たり前になっていて
好きだったものも
嫌いだったことも
分からなくなってしまったよ
ただ布団の温もりだけは
昔から変わらなかった




