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知ったかぶりの二枚舌
知ったかぶりをして
大きくなったつもり
痛い目を見ることも分からずに
ただ大人になった
そんなつもりでいたかった
大きくなったら
小さなものがこぼれていって
手のひらに残ったもの
私だった残骸
あの頃に戻れたらと
頭の中で昨日を繰り返す
気付かないで通り過ぎた
振り返ったときには
もう遅くて
間違いだらけの分岐点
選んで重なった迷い路
心は追い付いてくれない
身体だけが老いていく
それでも大人でいようと
作り笑いを浮かべて
足元に落ちたもの蹴り飛ばして
明日に刺されに行く
成長してただ老いて
残せるものは何かあるだろうか
後悔と間違いとその場しのぎの
知ったかぶりにすらなっていない
言い訳をして
汚いものから目をつむる




