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カミノイナイスイヨウビ
遠く冬が明けて
また命たちが産声を上げる
まばゆき新しき光に誘われて
多くのものたちは明日へと
その歩みを進めた
古きお伽噺はいつしか忘れ去れて
今はなき思いの言葉が
地に降り沈む
夜明けの厳しさも
朝焼けの優しさも
もう考える必要はないと
詩人たちは書物を閉じる
暗闇の中で静かに眠る
時代に残された賢人は呪いを呟く
それは祝福で
それは断罪で
私を置いていくものたちよ
永遠に祈り続ける
永遠にさ迷う者よ
見果てぬ地に至る友よ
今なお飛び続ける烏たちよ
君たちに
終わることのない旅を
日はまた昇る
狼に呑まれることはなく
蛇に食われることはなく
現実は続く
途切れることのない季節に
世界は芽吹く




