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寝れぬ夜のコーヒーを
寝れぬ夜に
コーヒーを一杯飲む
苦味の中に砂糖が溶けて
一時の夢を見る
うつらうつらと垣間見る
異世界の様子を
ただ語り部のように紡ごう
夜も深く
布団に潜ろうと
現と夢の境はまだ朧気で
私はどこかへさ迷う
それはいつか見た幻よ
また物語の一頁を
思い出す
やがて明かりのない部屋で
安らかな暗闇に包まれて
世界は色濃く軌跡を生み出す
一閃を追ってたどり着いた先
迷い混んだのは新しい
覚えることもない世界
それは一瞬で
鐘がなる頃に
世界は色褪せて
私は目を覚ます
まだコーヒーは冷めていない
ああ
ほんの一瞬だけ読めたと
ほほ笑み夢を閉じた




