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クラヤミシンドローム#2
目を閉じた
口を閉じた
耳がかすかな音を拾う
風の音
闇の奥から吹く風が
次の行き先を決めた
消えそうな灯火を携えて
暗闇の中を歩く
足元も見えない影の中
さ迷う旅を続ける
宛もなく
帰る場所もなく
途方もない闇の中で
明かりを灯して
ただ行き連ねる
先人たちの歩いた道を
気も遠くなるような昔に
世界から色が消えたという
もしもまだ色鮮やかな世界だったら
どれだけ美しいのだろう
醜いこの世界で
明日も分からぬまま
暗闇に閉ざされた道を行こう
いずれ全てが分かるその時に
私は在るべき場所にいる
これから生きる人たちへ
どうかその先を




