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クラヤミシンドローム#1
空が溶けた
星が熔けた
暗闇の中に光が解けた
幾千年も前のこと
世界から色が消えていった
当たり前だった景色は闇に飲まれて
歩けていたはずの道がなくなる
もう日常なないと
誰もが目を閉じた
掠れていく命
薄れていく意識
それでも明日を信じて
淡く消えそうな明かりで灯して
命をつなぐ
それでも争う
人間も動物も
次第に肥大化していく恐怖のために
奪い奪われ終わっていく
それでも景色は変わらなかった
暗闇はただ口を開けて
隔たりなく全てを飲み込んだ
世界は醜く
人間も動物も哀れで
もしも神様がしたことなら
それでも生きていくしかない選択を
なぜ神様は用意したのだろう
今日が終わり
明日が訪れる
暗闇の中で
世界は静かに回り続けている
時計の針が今を示す
これから生まれる人たちへ
どうかこの世界で




