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夜の雨、明けの雨。
錆び付いた空に雨が降る
黄色の雨がぱらりぱらり
夜に波を立てて
山の向こうに落ちていく
音もなく降ってくる
黄色の雨がぽつりぽつり
雫が滴ることもなく
地表の向こうに溶けていく
寂しい風が水面を撫でて
人知れずに命が鳴いて
夢見るままに誰かが謳う
明日の終わりを告げて去る
濁った空に雨が降る
黄色の雨がほろりほろり
東雲に融けていく
山の向こうから昇ってきて
声もなく降ってくる
黄色の雨ぽろりぽろり
身体を濡らすこともなく
時間の中に解けていく
暖かな風が水面に揺蕩う
夢見る命は目を覚まし
人知れずに誰かが吟う
昨日の始まりを告げて歩く
降り続けていた雨はもう
淡い光に浚われて
どこか遠くの暗闇へ
また今日が終わるとき




