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白に溶ける
鐘は鳴らずに
人だかりは影の中
年をまたぎひっそりと
人は夢の中で明日を見る
明くる朝
朝焼けの中に座り込み
おはようと呟いた
新たな光が目を覚ます
町中の喧騒も今はなく
ただ暖かな静寂が
心にまとわりつく
階段を降りる音と共に
静けさはいとも容易く
昨日の向こう側
影と話す
陽と背中合わせに
いたずらに時間を過ごして
待ちわびる朝の香り
窓辺から聞こえる鳥の囀ずり
幻を聞いているように
白い吐息が空を飛ぶ
またもう一度
空に溶ける白い鳥
僅かな眠気と共に
仄かな安らぎの中に揺蕩う
いつか訪れる夜に祈る
今年が平和でありますように




