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孤独を祈る
信頼という言葉にこそ裏切られる
自信をなくし頭の中が掻き混ざり
言い様のない混沌が身を包み込む
強烈な吐き気と共に酒に溺れる
その口実を作り出すためかも知れない
酩酊の先にある光は陽炎
付随した懺悔が身を焦がす
励ましというまやかし
同情という屈辱
縫い合わせた口を切り裂き
其の声で叫べ
全ては間違っていたと
獣を見つめる人間のめは人あらず
ただ玩具を壊す子供のように
喚きというナイフが心を刺す
怒りが悲しみを越えるとき
私たちは本物の獣になれるだろうか
血を満たす
目を見開き口を開ける
声が出ぬなら喉をかきむしれ
叫びの奔流と共に走り出せ
孤独を祈る
嗄れた声を吐き出して
果てた先にあるものを見て
私はきっと獣になりたかったのだ




