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まどろむ旅路
眠りにつくわけでもなく
夢から覚めるわけでもなく
虚ろなままで
枕の中でセカイを見ている
考えることもなく
思うこともなく
ただ狭間の時間をゆらゆらと
流されていくようだ
スーマトフォンの光も
部屋の明かりでさえも
尊く
儚く見えてくる
薄暗い靄の中で
泡のように消えていく
力が抜けて
意識がふ抜けて
それでもまぶたは
かすかに開いていて
頭の中を巡る風が
吐息となって漏れていく
現実と夢の水平線で
虚ろなままでさ迷う
光に戻されて
闇に向かって歩いていく
繰り返される小さな旅に
果たして終着点はあるのだろうか
やがてまどろみの中に溶けていく
セカイも時間も夢さえも
その瞬間がきっと
何よりも愛おしいのだろう




