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ボイジャー
旅立つ人は帽子をかぶって
笑みを浮かべて彼方へ向かう
それが暗闇の中であっても
誰一人いない荒野でも
旅人は歩みを止めることなく進む
背中を追う人がいる
誰かが残した足跡をたどる
いつしか背中を追い抜いて
自分自身が新しい足跡を残していく
旅人はいつもそうだ
誰かを追いかけて
誰かを追い抜いて
自分自身が新しい道しるべになっていく
地図はいらない
方位磁石さえあればいい
旅人は冒険者ではないと
ある人はいった
私は知らない世界を歩きたいのだと
朝が来た
私は帽子をかぶって
鞄を手に取る
静まり返った部屋に呟く
さようなら
あの人と同じ言葉を送る
目の前の荒野を見て足がすくむ
それでも好奇心は止められない
行こうか
最初の一歩は力強く
笑みを浮かべて地平線を見つめた




