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ユウグレカナタヘ
夕暮れの向こうを探して歩いた
あの日に路に影が立つ
手を伸ばして影とふれる
そのときに懐かしさを覚えた
目がくらむほど眩しかった
あの日の茜色はくすんで
朱色が目に染みる
楽しかった日々も影の中
私はそっと手放した
友だちの声も
先生の声も
今はもう聞こえなくて
私の周りにいる人はいない
みんな夕暮れの向こうに
別れ道を歩いていった
足並みを揃えて歩いた路を
一人の足で帰る日々
哀しさと寂しさが込み上げる
くすんだ明日を見ながら問いかける
今のままでいいのかな
鮮やかな昨日が見つめて答える
このままでいいんだよ
いつまでも終わらない哀しさを
私は今日も心のどこかで感じている
それがきっと大人になったということかな
手探りで大人を探している
足元に戻らない影法師
暮れに焦げた木から伸びている
笑う 私も君も
明日がいい日であると願って
夕暮れの向こうへ歩いていく




