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しらかみ
地に積もる
陽光は純白に溶けて
どこまでも白く
目の前を染めていく
生き物は眠りついて
幾重に足跡を残す
その後を追う私は
どこを目指しているのだろう
行く宛もなく
さ迷うこともなく
銀嶺を行く
白い吐息を道しるべに
小さな足跡を残す
そよ風に身を震わせて
足の裏から伝わる冷たさに
時おり立ち止まりそうなる
目の前に佇む銀の巨人
その先を越えたいと
目を開いて歩き続ける
川のせせらぎも
木々の揺れる音も純白に溶ける
どこまでも白い風景は
目映く世界を写し出す
生き物の重みも軽くして
全てを等しく受け入れる
例えそれが紅く染まったものでも
いずれは汚れを落としてしまう
目を開く
息を吐く
静かな世界の中で
確かに生きている
まだ眠ることはない
純白に沈んだ地平線を
見つめながら埋もれていく




