カギの形をしたもの
カギなどというものは存在しないのです
故にアナタが持っておられるそのカギは
カギに似た何、か、でございます
きっと外へ出掛けるその内に
無意識にかけてしまったのでしょう
だからアナタはそのようなものを持っておられる
なんともまあ
みっともないことでございます
外の風景はいかがでしたか?
さぞかしアナタの瞳には
眩しく映ったのではないでしょうか
だからアナタはかけてしまったのです
ココロにカギを
それほどまでに外の風景は
綺麗だったのでしょう
刺激、ともいうべきでしょうか
アナタには充分過ぎるほどの
刺激になったのでしょう
しかしそれによってアナタは
ひとつ捨ててしまった
外を見るばかりなくしてしまったのです
何かって?
アナタ自身ですよ
アナタは自らを失った
自らの意思で
だからカギをかけたのでしょう?
アナタがアナタを扉の向こうへ追いやって
なんともまあ
愚かしいことです
ところでアナタはなぜ
カギを持っておられるのに
扉を開けようとしないのですか?
最も答えなど知っておりますが
え?
言ってることが最初と矛盾している?
はて……私には矛盾してないように思えますが
もしも矛盾してると思うのではあれば
それはアナタが何かを
勘違いしているからではありませんか?
ともあれ
アナタが扉を開けないのは
とても滑稽に見えますな
まるで自分から逃、げ、て、い、る、
一度、自分自身を見直してはいかがでしょうか?
そのままでは単なる傀儡にしか成りえません
今のアナタは単なる人形です
どうでしょうか?
ここで一度そのカギで扉を開けてみては?
その勇気があればの話ですが……




