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ラストホログラム

 

暗い影が部屋に差し込む

月の光は町の明かりに消されて

ただ肌寒い風がカーテンを翻す


音を立てる氷 滴る雫

年越しの香りは儚くて

今年はまだ終わらない

日常が影の中に横たわる


暗闇に鳴る音を消して

画面に映る影絵を眺める

ため息混じりに天井を見上げる

大きくなった影が私を見つめている

「君は一人かい?」

影は私の肩を叩く


「私な一人だよ」

影の手をそっと握る

その手は暖かくて 少し冷たい

時計の針が影を動かす

「それじゃあ大丈夫だね」

影は笑いながら暗闇に溶けた


もうすぐ終わる日常に

私は手を振るおう

影の先 沈んでいく昨日の私

それは忘却ではなくて

確かに昨日(わたし)がいた証


明日がやって来る

それは変わらないことで

今日もまた一日が始まる

影は伸びて窓の外へ消えていく

鐘の音を聞きながら

おやすみと呟いた

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