ボクナシエンド
君との思い出は色褪せて
それでも夢に消えることなく
いつも背中合わせの路を歩いていた
ありふれた日常は
いつの間にか昨日になって
僕は一人この路を歩く
路地に差す影が後を追ってくる
まるで昔の君のように
僕を追い抜いては夕暮れに消えていく
手をつないで歩いていた路は
いつしか僕だけが歩いていた
かすかな温もりも残らないまま
今はただそよ風が吹き抜ける
思い描いた未来はそこにはなくて
どうしようもない現実が立っている
願った夢も 望んだ結末も
きっと叶うことなく過去に埋もれていく
ただ隣にいたかっただけなのにと
僕は宵の空を見て呟いた
暗がりの路は少し怖くて
けれども月の光が温かい
一人で帰る影法師 影がそっと手を握る
大きくなって君は手を離して
どこかへ走っていた 暗闇の向こうに
手で掴もうとした光を追って
きっと今も僕の前を通り過ぎていく
もう交わることのない君と僕
手を伸ばしても届かない
君は僕の前を 僕は君の後ろを歩く
それは僕らが大きくなった証なのだろうと
僕は月に背を向ける
君は僕といて幸せでしたか?
足元に伸びる影に問いかけた
幸せだよこれからも 影はそっと呟いた
夢の中 色褪せた思い出の中でも
僕はいつまでも君を待っているよ
背中合わせの路をまた
僕と君は歩いている




