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フィブ

 

眠りについた人の声を

誰が聞くのだろうか

独り言のような祈りは

いつしか誰かを蝕む呪いになる

それでも彼は幸せなのだろう

手を握りしめる彼女を見つめて


優しさは誰かを傷付ける

それは自分も含まれる

彼女は彼のために傷付き

彼もまた彼女のために傷付いた

その結果だとすれば

これほど理不尽な結末はないだろう


戸を開けて暗闇を払う

か細い明かりが二人を包む

動かない彼と動けない彼女を縛るもの

ほら 安らかな眠りについている


白い吐息は蛇になる

しかしながらそれはもう続かない

彼女は 彼女だった蛇は祈るのだ

この終わりを 幸せの終わりを

それが彼のための終わりであるために


手を繋いだ ただ一度きり

幼い記憶はいつまでも二人を縛り付けた

その終わりを願う彼女のために

俺は何をしてやれるのだろうか

誰しもが持つ幸せを奪うこと

それが自分に出来ることだろう


夕暮れ時のこと 彼は目を覚ました

虚ろな表情をして 涙を流して

側にいた彼女が言った

「怖い夢でも見ていたの?」

「いいや、とても温かい夢を見ていた」

彼は彼女を見つめるとほほ笑む

後ろに伸びる蛇を見つめて


幸せは終わる それが目覚め

そしてそれさえも嘘だとしたら

既に蛇は影の中 誰が蛇を食べた?

そしてそれがこれからの始まりだろう

優しい嘘は誰しもつけないのだから

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