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過去を捨てる男

 

私は過去を捨てる男だ

それ故に私に過去と呼べるものはない


記憶は彼方に薄れて

アルバムな手元にない

私は歩いてきた道も忘れ

ただ漠然と目の前に広がる

世界を見て佇む


ある者がいった

過去を捨てるのは間違えだと

思い出のない人間は冷たいと


ある者がいった

過去を忘れのは間違えだと

記憶をなくした人間は冷たくなると


私は自分の手を握る

ああ、確かに冷たい とても冷たい

極寒の中 何かを探すために

銀嶺を掻き分ける人のように

私の手には温もりがない


だから何だというのだ


過去を拾い続けるのが正しいのか

それで人間は暖かくなれるのか

過去を覚えているのが正しいのか

それで人間は温かくなれるのか


なれるはずがない そんなものに


記憶は所詮読まれない頁だ

例え手放したとして

それを読むものはいない

私は何者でもないのだから

何者にもなれないのだから


私は過去を捨てる男だ

今を過去に捨てて生きている

記憶を命に焚べる

私は過去を見ずにただ

漠然と目の前に広がる世界を

さ迷い続けていたいのだ

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