表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
413/660

Grave of flower language.7."Grave of a journey."

 

君はいつも夜空を見上げる

星の迷路をなぞってゴールを探す

その指先で夢を描いて

それでも君はたどり着けない

君は最後にそっと手を下ろした


小鳥のさえずりが響く

揺れる木々が夜明けを告げる

窓辺から(あめ)が降り注ぐ

テーブルに置かれたコーヒーはもう冷めて

誰もいない椅子が揺れている


夢が覚めて私はここにいる

君は今どこにいるのだろうか

月夜の下で出会ったあの日から

朝日差し込むこの日まで

はたして君はどこにいたのだろうか


墓標に花が咲く

スターチスの花束を

君の名前はここにあるのに

君はここにいない

どこへ行ったのだろうか

私は空を見上げて目を閉じた


道を行く 君が歩いていた道を

その足跡をなぞるように

しかし君の影を追えない

君はいつしか私を追い抜いていた


旅の終わりに見つけたもの

君は何を見つけたのだろうか

私は何も見つけられなかった

かつて願ったことさえも

今もまだ叶っていない


影が問いかける

お前の選択は正しかったかいと

私は答えた

きっと間違えていたと

それでも後悔はないと


外套をしまい手袋を脱ぐ

擦り切れた黒い羽を風に乗せて

人の手の温もりを感じる

もう(あくま)は姿を消していた


残ったものは何だったろうか

私の歩いてきた旅路を振り返って

君は何を得たのだろうか

その答えはもう分からない

きっと君は教えてくれないから


夜空を見上げる コーヒーを二ついれて

あの日から何も変わっていないと

私はため息をついた

私たちの旅は何だったのか ぼんやりと考えながら

きっと答えのない旅だったのだと

指先で夜空をなぞった


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ