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曇天を呑む
暗闇に街灯がつく
疎らに灯る明かりは弱く
足元すら照らせない
薫風が吹き抜ける
しかし肌寒い
それはまるで初冬を迎えるような
いささか心細いものだった
季節は巡れど天気は変わらない
今日も曇天が空を覆う
雨に濡れたアスファルトの匂いが
水たまりに昔を写す
それは影法師のように
曇天に呑まれて消える
どこまで歩いても変わらない
どれほど時間が流れても
空が晴れることはない
雨が降ることなく灰色の
暗闇が路を覆う
薄明かりに伸びる影が
手招きをして待っている
そっちではないと背後から
空白の私が手を掴む
私はどこへ向かうべきなのか
灰色の空を見上げる
道しるべになるものはなく
ただ曇天の
暗闇の路に消える




