何もない言葉たち
綴った言葉は何を意味したのだろうか
忘却の中に薄れていく昨日を見返して
思い出せない夢を見る
何かを伝えていた言葉も今は
埋もれた価値の中に沈む
振り返った記憶に残ったものはない
ただ虚構がどこまでも広がっている
思い浮かべたものを言葉に綴ろう
夢の中に溺れて描いた
どこかへ残した心の残照を
無くしてしまわぬように握りしめた
しかし気がつけば
既に手のひらには何も残っていなかった
すくい上げても隙間から
こぼれて砕けてしまう日常に
どんな夢を描いて言葉を重ねたのだろうか
一度眠れば忘れてしまう現実に
どんな思いをはせて言葉を謳うのだろうか
意味さえ忘れて
言葉さえ無くして
それでも物語を紡ぐ人
それでも歌を語る人
一時の幻想に身を委ねて
それでも残るのは虚構なのだろうか
有象無象の中に埋もれていく
どれほどの夢もいつかは過去になる
それでも言葉を重ねるのか
いつか忘れることを知っていても
無名に消えていくと分かっていても
忘却という現実
夢想という虚構
それを言葉にしている日常の中
また一つ意味をなくした言葉を増やす
また忘却の中に作品を投げ入れた
また新たな作品を書き出した
束の間の夢に溺れて
覚めた虚構の中を歩いていく
忘れたことさえ忘れて
現実をただ謳っていよう




