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スノードロップ
噛み砕いた雪が空から降ってきた
ガラスの破片みたいな形をしていた
地面に突き刺さっては溶けていく
気が付いたときには景色は白く染まっていた
足跡を残して白色の中へ
未だに雪は止まずに霧がかかる
先も見えない中を歩いて
僕は一体どこへ向かっているんだろう
ふと見上げた先に雪に埋もれた道しるべ
ああ、僕はあそこへ向かっていたんだ
砕ける音に沿いながら白雪の中を行く
背中にもう景色は見えず
先に道しるべはなくなった
それでも行き先は見えていた
地面に雪が刺さる音がする
ガラスの砕ける音と一緒に
景色の中に溶けて行く
白雪の霧の中 白い吐息をこぼして
ただ行く先へ 手を伸ばせばすでに届く




