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千古のトラペゾヘドロン
騒めくものがいた
蠢くものがあった
暗闇はいつも箱の中から覗く
言いしれようのない体はただ唸る
世界という箱庭を覗いて
触れることさえ出来ず
見ることさえ叶わずに
それは天頂と同じ意味
ただ語り継ぐことしか出来ないもの
彼の者は綴る
彼の者は大いなる災厄だと
彼の者は語る
彼の者は全なる悪意だと
暗闇はただ全ての言葉に耳を傾ける
有象無象の音に聞き入りて
ただ現の中で夢を見続ける
名前を呼ぶ者がいた
しかし答える者はいない
言葉がただ世界に響くだけ
箱の中に木霊する名前は
やがて重なり合って混沌になる
暗闇は箱の中からそれを聞く
答えることもなく
ただ無言で箱から覗いている
暗闇は蠢きど来らずに
現の中で夢の続きを見続ける
世界という箱庭を覗いて
暗闇は箱の中でほほ笑み続ける




