332/661
絶無
ここまでの空を振り返って
あげた手の隙間 こぼれ落ちた星の影
まだ太陽が起きているのに もう月が笑っている
音が響く浜辺 さざ波が震える
ただ風が通って髪が揺れるだけ
水平線の彼方 永遠を見つけるように
僕は見つめて呟いた
終わりの瞬間を待とう 平等のための犠牲
次は僕の番 足元で揺れる水面に映える
かざした手の向こう 残照が落ちる
濡羽色に染まる背後 僕は空を見上げて
ただ星を睨む
宵は深まる
波間に落ちる星明り
夜が訪れる
瞳の奥に映る笑う月
重ねたものが崩れていった
水平線の彼方 永遠を見つけるように
僕は見つめて呟いた
不条理な神さまが嫌いだ それは好きの裏返し
次は僕の番 闇の中に姿を隠して




