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大罪の美術館
陳腐な言葉を並べた絵画の住人は
意味もない議論に熱を入れた
結論など出るはずもないのに彼らはただ
自らの傲慢さを見せびらかすために続ける
その一方で哀れみの眼で見る彫像は
笑い話をしてただ惰性に陥る
果たして哀れなのはどちらのか
色欲にまみれた抽象画は喚く
自由がないと抜かして叫ぶ
怠惰に溺れた具象画が笑う
不自由なのは我々も同じだと
観客から見ればそれは同じ意味でしかない
愚か者はただ意見をいい会うだけで終わる
見も蓋もないことを並べる文章
その下を憤怒するように恨む自画像
文字はただ正論を語るだけ
それに騙されたのはどちらのものか
暴食に溺れた置物
強欲に埋もれたガラクタ
どれもこれも私の作品だと絵画は高らかに
その下で嫉妬に狂う作者が笑う
俺が作ったから出来たのだろうと
先駆者の面構えをして朽ちた椅子の上
腰をかけてただ物言わぬ絵画を罵った
ただ無意味が重なる美術館
時間と人生を浪費して出来たのは
何者でもない
あなた自身だ




