ゆめはてまつり
暗闇を抜ければ祭り囃子が踊り出す
影の堕ちる中 あの人の後ろ姿を見つけた
鳥居の前 少し不機嫌な彼女
遅れてごめんね 怒らないでくれよ
彼女の手を引いて夕焼けの鳥居をくぐる
連なる提灯 続く石畳 立ち並ぶ祭路
屋台を回って楽しもう すでに片手 君はりんご飴を頬張って
祭り囃子は人の声に 夜空に木霊する
たこ焼きに焼きそば 綿あめを頬張って
過ぎていく屋台 匂いはやがて杜に帰る
あそこの店主さんが奢りだって 手渡された綿あめ
店主は気前よく手を振った
去っていく景色 移ろう視線は横にたどり着く
ほのかに赤く熱くなる心 握った手が少し温かい
そういえばもうすぐ花火だよ 見上げた夜空 音が響く
満開の花が咲き誇る 暗闇が照らされる
たまや かぎや かける言葉 向こう側に消えていく
やがて花は枯れていく 色彩は影に堕ちていく
瞬く間に終わった花火 光は隠れて闇夜が広がる
先の路 橙色の灯火が続く
過ぎていく景色 やがて果てに着く
屋台が一つ明かりをつけた
そこのお二人さんこれどうぞ
男が一人 お守りを二つ手渡した
どうかお幸せに 笑みを浮かべて暗闇に消えた
続く石畳 果てを越えて鳥居の前
賽銭箱に五円を 願ったものはなんだろう
鳥居を後ろに それじゃあ帰ろうか
また彼女と手をつないで歩く道
まだついた色が残っている
それでも明かりは既に消えていた




