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石の夢
瞳に写るものは研ぎ澄まされて滞る
雨音は静まり返り
地を流れる流水はとどまる
動きを止めて ただ静けさだけが耳に木霊する
灰色の雲の隙間からこぼれる光は空を照らして
波打ち留まる無色を染める
その色は何色か 灰色 青色 茜色
混ざり合った景色が佇んでいる
歩いた後 私の足跡がここまで続く
跳ねた水溜り 宙を漂う雨粒が消える
一瞬を切り取ったような世界
一秒一秒動き続ける私が止まる
そしてまた世界が動きだす
地を打つ雨音 流れ続ける水
灰色の雲が光を飲み込んで
薄暗い朝がやって来た
降りしきる雨の中 私は椅子の上で眠る
冷たい感触 伝わる ああ、なんて心地よい
次また私が目覚めるときはどうか
まだ雨が降っていますように 私は願い眠る
響く音の中 ただ一時だけの動く時間を見て




