黄金をまとう風
夕焼けの向こう側で見た黄金の
風を追って私は今でもここで待つ
いつ来るかも分からない待ち人を
もう一度会うために
黄金をまとった風を見るために
茜色に染まる灯台で見た幼き景色
境をなくした水平線に消えていく黄金の
何かの形をした風の後
星のように輝く水面の上に残照が入り込む
一瞬で終わった出来事だった
それでも永遠を見ているように
今でも目の前で繰り返される
幾年が過ぎて私の風景は色を変える
滲んだ虹のような景色が広がり続ける
それでもここの景色は変わらない
高さが変わっても茜色は鮮やかなまま
しかし何かが足りない寂しい景色
あれから幾度なく見続けてきた
あくる日吹く風を待っていつまでも
黄衣をまとった風を見るために
腰をかけた灯台の下
1日が終わり夜がやってくる前
灰色に染まった向こう側と
真上では混じり合って溶け合う茜色
星はまだ見えていない
残照が色濃く残り続ける
そよ風がただ通り過ぎる
何かを予感して私は振り向く
しかし何も起こらない
その繰り返しが積み重なり茜色
紅色の中に溶けていく
手を伸ばした水平線
隙間からこぼれる茜色
影を描いて風が吹き抜ける
髪を撫でるそよ風は水平線に吸い込まれて
星がまた一つ輝き始めた




