表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
310/661

黄金をまとう風

 

夕焼けの向こう側で見た黄金の

風を追って私は今でもここで待つ

いつ来るかも分からない待ち人を

もう一度会うために

黄金をまとった風を見るために


茜色に染まる灯台で見た幼き景色

境をなくした水平線に消えていく黄金の

何かの形をした風の後

星のように輝く水面の上に残照が入り込む

一瞬で終わった出来事だった

それでも永遠を見ているように

今でも目の前で繰り返される


幾年が過ぎて私の風景は色を変える

滲んだ虹のような景色が広がり続ける

それでもここの景色は変わらない

高さが変わっても茜色は鮮やかなまま

しかし何かが足りない寂しい景色


あれから幾度なく見続けてきた

あくる日吹く風を待っていつまでも

黄衣をまとった風を見るために


腰をかけた灯台の下

1日が終わり夜がやってくる前

灰色に染まった向こう側と

真上では混じり合って溶け合う茜色

星はまだ見えていない

残照が色濃く残り続ける


そよ風がただ通り過ぎる

何かを予感して私は振り向く

しかし何も起こらない

その繰り返しが積み重なり茜色

紅色の中に溶けていく


手を伸ばした水平線

隙間からこぼれる茜色

影を描いて風が吹き抜ける

髪を撫でるそよ風は水平線に吸い込まれて

星がまた一つ輝き始めた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ