表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
296/661

間の色

 橙色の光が磯を照らす。橙色の光が水面に反射して、茜色の空を描き出す。それは何かが訪れことを予感させるものだ。振り向いた山の向こう。暗く染まり始めていた。それは夜の訪れだった。

 水平線に傾く太陽。山の方には月が。黒色と橙色が混ざり合って、空に境界線を作り出す。夕暮れは明けることなく、夜は訪れない。そこは狭間の時間が静かに流れている。海のさざなみが、町の音が、海鳥の鳴き声が、ただ繰り返されては他の音にかき消されていく。

 水面が揺れる度に橙色の光は輝き、その中で真上の世界を映し出す。星の明かりを薄っすらと。互いに溶け合って、輝きを増す。

 どこを見渡しても、光は降り注ぐ。淡い光、時には強い光。影を描き出しては異なる色彩を与える。私の手にも茜色を。風にさえ色彩を。この場所にあるもの全てに色を描いていく。

 やがて光は薄っすらと消えていく。橙色は茜色に。茜色は狭間に溶けて。影が踊りだす。空に暗闇が。その中で黄色の光を見る。山の向こうはもう見えない。月が真上の世界を照らし出す。

 それでもまだ残照のように。水平線には茜色。海にはまだ星の光と茜色。混ざり合って輝きを増す。まだ境界線は混ざり合ったまま。光はまだ磯を照らす。

 やがて茜色は闇に溶けん混んで、黄色の光を描き出す。空の色は混ざり合って黒色に染まる。私の手の色は影。全てが夜に包まれる。水面はかすかな光を受けて淡く輝く。それは狭間の時間が終わったこと。夕は暮れて夜が訪れる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ