間の色
橙色の光が磯を照らす。橙色の光が水面に反射して、茜色の空を描き出す。それは何かが訪れことを予感させるものだ。振り向いた山の向こう。暗く染まり始めていた。それは夜の訪れだった。
水平線に傾く太陽。山の方には月が。黒色と橙色が混ざり合って、空に境界線を作り出す。夕暮れは明けることなく、夜は訪れない。そこは狭間の時間が静かに流れている。海のさざなみが、町の音が、海鳥の鳴き声が、ただ繰り返されては他の音にかき消されていく。
水面が揺れる度に橙色の光は輝き、その中で真上の世界を映し出す。星の明かりを薄っすらと。互いに溶け合って、輝きを増す。
どこを見渡しても、光は降り注ぐ。淡い光、時には強い光。影を描き出しては異なる色彩を与える。私の手にも茜色を。風にさえ色彩を。この場所にあるもの全てに色を描いていく。
やがて光は薄っすらと消えていく。橙色は茜色に。茜色は狭間に溶けて。影が踊りだす。空に暗闇が。その中で黄色の光を見る。山の向こうはもう見えない。月が真上の世界を照らし出す。
それでもまだ残照のように。水平線には茜色。海にはまだ星の光と茜色。混ざり合って輝きを増す。まだ境界線は混ざり合ったまま。光はまだ磯を照らす。
やがて茜色は闇に溶けん混んで、黄色の光を描き出す。空の色は混ざり合って黒色に染まる。私の手の色は影。全てが夜に包まれる。水面はかすかな光を受けて淡く輝く。それは狭間の時間が終わったこと。夕は暮れて夜が訪れる。




