最後が降る日に
後ろに振り向いて 瞳に映った桜の雫
溜まっていた水たまり 空は曇って日も見えない
ざわめく後ろ側を通って 「いつも」が始まる
傘にぶつかる音 鈍い濁ったもの
空を見れば桜色 澄んだまま降ってくる
昔の姿が目の前に 今と重なってため息を
不安 期待 明日から何がある? それは今も同じ
滲んだ手のひら それでもまたここに立った
同じ一枚が瞳に映る 雨の日 桜また舞って
昔の後ろ姿を重ねて 今を前に進もうと
歩く足取り 重い それでも振り返らない
この先にある自分を探しに 雲が散っていく
期待より不安が 明日に寂しいさを覚える
流れていく雨 空は少しずつ明かりをつける
通り過ぎた先 音は途切れて また「いつも」
畳んだ傘から零れる 鋭くて鮮やかなもの
空は晴れた でも曇り空 桜はまだ散っている
この先が怖くて 桜が散るのが怖くて
今に居たくて 桜が花を咲かせなければいいのに
葛藤 逃避 拒否 現実の雨が流していく
曇った空想 濁った思い出と一緒に
桜はやがて花をこぼす
始まった姿があって 終わる姿を今見ている
桜の下 水たまりを花が覆う そこに自分は映らない
あの日の気持ち 今また心に持って最後の「いつも」を
曇り空は晴れた 桜は散っていく




