284/661
愚者は振り返る
砂上を歩いて走ったと言い張る者たち
それは醜いもので見るに堪えない
まるで自分は舞台で踊る道化師だというように
自己満足な妄想を束ねて飛び回る
なんとも滑稽なものだろう
独善的な美学を翳して
自分が常識だと思い込む
片手に掲げた嘘さえも真実だと語り
猜疑を忘れた生者は目を瞑る
狭い視界で世界を見たように
その外側にあるものには背を向ける
言葉などかけるだけ無駄か
正義を模した何かを振りかざして
いつも中心にいようとした
その姿が映る鏡は好まない
足跡が残る砂の上を歩く
その中に不都合を隠しては砕く
所詮と心を踏み潰して
感情のままに振舞う
誰が傷つこうが関係ない
蹴り飛ばした記憶をいつも
馬鹿だと煽る
他者を見下ろしていつも砂上の上にいる
彼はいつしか道化師から観客者
そんな勘違いをしてまた踊る
その先にあるのは誰にも見られることのない
無様な幕引きだと気付かずに




