280/661
ブラックベリーのジャム
ランプをつけて椅子に座ろう
テーブルの上にはパンが一切れ
温くなった紅茶と一緒にジャムの瓶
蓋を開けてパンに塗ろう
ブラックベリーの匂いが目を覚ます
薄がりの中で食べる朝の味は
昨日よりはまだ美味しいかな
冷めきった体を温めるには
これくらいが丁度いい
ブラックベリーのジャムが甘いんだ
だから紅茶はストレートに
苦味が混じり合って手が止まる
ふと見た窓の外
小雨の音が耳に染み渡る
ため息をついて紅茶をもう一杯
今度は自分で淹れたものを
それでも温いまま
ジャムの瓶の蓋を閉める
ブラックベリーの匂いは消えた
紅茶の匂いが周りに漂う
それはそれで苦いもので
目はとっくに冷めていた




