フランネルフラワーのしおり
本の海に埋もれた君を見た
それはいつのことだったろうか
本を探しに言って見つけた君は
手に取った本の表紙の
白い花のようだった
夕暮れはまだ遠く
けれどオレンジ色の光が差し込む部屋で
僕と君は語り始めた
あれからかな
図書室に行く度に君がいないか探す
いつもの場所に座っていないかな
そこはいつも僕が手を伸ばしていた場所
君も今日はそこにいた
来る日も来る日も図書室へ
本を探すことはなくなった
代わりに君を探している
今日はいるかな
そんなことを呟いて
不純という言葉が頭に過る
ある日のこと
花言葉って知ってるかな
君は僕に本を見せてくれた
それはいつも見ていた本
花言葉を綴った本
私はこの花が好きなんだ
指差したのはフランネルフラワー
花言葉は高潔と誠実
私はこれが好きなんだ
そうなんだねと僕は返す
なんだか自分とは真逆なようで
少し離されたような気持ち
勝手になっていく自分を振って
そうだ、これあげる
ポケットから取り出したしおり
そこには白い花が描かれていて
君にあげるよ
手渡されたしおりを見て
ありがとう、大切にするね
次の日も会えるかな
いつのように訪れた部屋
オレンジ色の光が差し込んでくる
いるかなあの場所に
やっぱり君はそこにいた
待ってたよ
君は僕を見て笑う
今日はなんの話をしようか
僕と君の時間がまた始まった




