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靄の傘

 

雨でも降っていたのだろうか

薄暗い森はぼやけていた

靄がかかって景色を隠す

どこまでも真っ白に

何かを隠すように

靄はぼやけて景色に紛れる


通りすぐていく道は靄の中に

霧に消えていくように

道先だけが目に映る


足を止めて空を見て

もう一度見れば先に一人

そんな所で何をしているのか

男は答える

道に迷ったんだ

帰り道を知っているかい?


そうかい出口はこっち

ついておいで

踏み出す一歩

音が軽い

振り向く道は靄に隠れる

その前にいる男は静か

静寂が静けさを取り戻す


耳に染みる森の音

沈黙は自然にかき消されて

語りかける言葉

返事はない

ただ一言

ありがとうな

言葉さえ靄に紛れていく


やがて靄の中に光が差し込む

夜明けは次第に朝方へ

語るもまだ言葉はない

男は同じ一言ありがとう


道を過ぎて道に至る

足を止めてその先が出口だよ

指差す方向

朱い鳥居は口を開けている

男は一言ありがとう


通り過ぎていく男

その姿は人のよう

先に靄はない

ここからは彼の道

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