263/661
陽炎の海路
遠くに見やる青空に
浮き上がった白煙を追いかけた
通り過ぎていく景色は向こう側
手をかざして太陽を
隙間からこぼれた淡い空
潮風を追い抜けて
水平線までどこまでも
汽笛を鳴らして進んでいく
海原は光を放つ
軌跡を描く白線が
青色を隠して進んでいく
もう小さく見えるあの町へ
今はそっと手を振ろう
別れを告げて前を向く
あの頃に戻るために着いた
帰り道はまた思い出に
積み重なっていく記憶はどこへ
もう行きつき先はないのだろう
風に乗せて前へ行く
海の香りが身に染み付いて
蜃気楼を抜けてまた水平線
過ぎていく昨日にさよならを告げる
私はまた昔に戻っていこう




