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茜色の雪
今年も雪は降らなかった
山の向こうに日は昇る
影が色濃く残る路
どこまでも続く霧のよう
白い吐息を見つめては
煙を追って歩いていく
行き先もなく宛もなく
帰るにはまだ早いこと
すれ違う人もなく
侘しい路に足跡が
どこにも続くこともなく
泡沫に過ぎていく
どこへ向かう風か
問うてもただ過ぎていく
白い吐息は煙のように空へ行く
街灯も疎らな路を行く
今はもう帰り道
宛もなく続いたこの時間
得るものは何もない
いたずらに時間は過ぎていく
寒風に身を震わせ
身体の暖かさを確かめる
背中から差す光が眩しくなった
茜色の雪が振りだす頃




