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彼らの声は永遠に
どこからともなく聞こえてくる
姿のない声
それは喜怒哀楽に満ちた
「彼ら」の声だった
見れない触れられない
けど確かにそこに在った
永遠の中に埋もれることなく
いつでも私たちの隣にいる
形のないものは意思を持ち
私たちに話しかける
絵はなくても言葉でそれを
「彼ら」はいつも声を出していた
声はやがて伝承になって
誰かが紡ぐ
そして文字は動きだし
語り手は言葉を紡ぐ
変わる中で代わらないものを
「彼ら」の証はここに在る
消えていく中で消えないものを
「彼ら」の声はまだ聞こえている
不気味だからこそ愛らしい
彼が愛した者たちを
次の語り手は私たち
「彼ら」の声を永遠に
「彼」の声は永遠に




