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死に至る幸せ
今日見た青空はいつか見た景色だろう
それはずっと昔のぼくのこと
小さな手が掴んだ光は
大きな手からこぼれ落ちていく
小さかった歩幅は大きくなって
ぼくの隣を歩く歩幅はまだ幼い
いつしか見ていた過去の未来
そにぼくは立っている
変わる景色の中でいつも残ろうと
ぼくはここにいますよと叫んでいた
若気の至りかなんてしゃがれた笑い声
今はもう流されるままに行こう
吹き荒れていた時間は過ぎ去って
そよ風が吹き抜けていく
何事もない穏やかな時間は
この終わりまで続くだろうか
今日も歩く道はいつもと変わらない
太陽が昇って月が現れる
季節が回って私は歳を重ねた
それでも目の前の世界は変わらない
近いうちに訪れる最期の一日
目をつむればすぐに来てしましそうだ
私はしゃがれた声で笑った
「その日は幸せな一日でありますように」




