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猜疑の独笑
不気味なまでに穏やかな韻律が私を支配する
見るもの全てが至高に見えてしまう
それに代えて私はどうだろうか
狂乱に落ちるほど醜く見えるではないか
目をどれだけ動かそうと周りは光で包まれている
手で覆い隠そうが隙間から差し込んでくる
ああ、なんて妬ましい
怒りと嫉妬で頭が狂っていく
身体がどれだけ拒絶しようと
耳に入り込んで記憶に刷り込んでくる
酷い雑音が頭の中を掻き回してくる
頭を抱えて壊れていく
脳裏に映り込む言葉が刃を突き立ててくる
その度に耐えがたい衝動が怒りとなって溢れ出す
牙を剥き出す我が悪魔よ
なんとも醜悪で無様なのだろうか
先人はいつも偉大であった
美しく美麗な旋律を奏でてくれる
頼むからその音を向けないでくれ
無様で滑稽な私が朽ちてしまう
世界は福音と至高で満ちている
その中で足掻く私は何者か
憎悪と嫉妬で狂った悪魔だ
これ程までに醜悪な生き物はいるだろうか
美に取り憑かれた亡者のように
私もまた自身を糾弾する
世界に対する嫉妬と自身への憎悪
矛盾こそ私の本質である
狂乱の果てに私は気づくだろう
いや、既に気付いている
憎悪と嫉妬だけでは何も生まれないと
既に私は朽ちていた




